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2008/12/14 窓から見えたもの |
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まだ結核が不治の病だった頃、アメリカのある病院のお話です
その病棟にも、死を宣告された7人の患者がいました ジミーカーチスは、その病室の、一番窓際に寝ていました 自分で動くことの出来ない患者の中で、ただ一人、窓の外を見る事が出来ました 死と隣り合わせの同室の患者は、皆心がすさんでいました
その患者を前にして、ジミーは窓から見える光景を、語り伝えるのです 「おーい、みんな、今日は子供達が遠足だよ 黄色いカバンをさげてる子がいるな いやぁ、ピンクの帽子をかぶっている子もいるよ、可愛いな 3番目と4番目の子が手をつないで歩いている きっと仲良しなんだろうな あ、空には黄色の蝶々が飛んでいるよ」
ところがある日、朝起きてみるとジミーがいません 昨晩、亡くなったのです
すると、入口から2番目のベットに寝ていたトムが 「俺をジミーが寝ていた窓際にやってくれ」と頼むのです しかし、看護婦さんは顔をくもらせ、なかなか言う事を聞いてくれません 業を煮やしたトムは怒鳴り声をあげます
そこで仕方なく、看護婦さんたちはトムを窓際に移します 喜んだトムは 「俺はジミーみたいに、外の景色をみんなに話してなんてあげないぞ 自分だけ楽しむんだ」 そう思って窓の外を見たのでした
ところが、窓から見えたのは、灰色の古ぼけた壁だけだったのです その瞬間、トムはジミーの思いが全てわかったのです
「ジミーは、壁しか見えないのに 自分たちのすさんだ心を励ますために その壁の向こうに広がるであろう素晴らしい世界を ああやって語り聞かせてくれたんだ それに引き換え、自分ときたら、自分だけ楽しもうだなんて 何と浅ましい心の持ち主だろうか 何という恥ずかしい自分であろうか」
心から懺悔したトムは、ジミーに負けないくらい 素敵な思いやりを持って 次のように語り聞かせるようになったのでした
「おーい、みんな、今日は花屋さんが通るぜ 車の中はバラの花でいっぱいだ 前の方は、あれはパンジーの花だな あの隣の黄色いバラ、甘い香りがするんだろうな」
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